2024年4月より、法改正が行われたことで「今までの働き方」が大きく変わっている運送業界。『2024年問題』という言葉で、各種メディアにも取り上げられている中、実際に運送業界で働いているドライバーは何を感じているのでしょうか。
このたび株式会社オーサムエージェント(本社︓愛知県名古屋市東区泉、代表取締役︓⽵村優、以下オーサムエージェント)は、オーサムエージェントが運営する、運送業に特化した専⾨求⼈サイト「ドラピタ」【https://dorapita.com/】にて、ユーザーのドライバーを対象に「ドライバーに聞く2024年問題の意識調査」を実施しました。運送業界の最前線で活躍しているドライバーのリアルな目線から、2024年問題への取り組みの実態と懸念点が数多く得られましたので公開いたします。
今回の調査『ドライバーに聞く2024年問題の意識調査』では、20代~60代のドライバー計59名と幅広い年齢層から回答が集まり、特に40代~50代の割合が多い結果となりました。
「仕事で使用している車両」に関しては、中型トラックが41.4%。小型トラックと大型トラックがそれぞれ25.9%という結果になりました。
2024年問題のキーワードは「労働時間の制限」
『2024年問題について、どの程度知っていますか?』という問いに対し、44.8%のドライバーが「時間外労働の上限規則の変更ということは知っている。」と回答。44.8%のドライバーが「時間外労働の上限規則の変更内容まで知っている。」と回答。この結果を踏まえると、ほとんどのドライバーが『2024年問題』が「時間外労働の規制」に関わる内容であることを知っていることがわかりました。
次に、前述の『2024年問題について、どの程度知っていますか?』という問いに対し、「2024年問題という言葉のみを知っている。」「そもそも2024年問題を知らない。聞いたことがない。」と回答したドライバーに対して、『労働時間に制限がかかることで生活に変化は出そうですか?』という質問を実施。
50%の半数が「はい」と回答したことから、『2024年問題』による「時間外労働の規制」がドライバーの生活を左右することがわかりました。
「はい」と回答したドライバーに対して、具体的な変化についての質問をしたところ「収入減によって、今以上の節約を強いられる」「収入の低下が心配」などの『収入面』に関わる回答が多く見られることから、『2024年問題』がドライバーの収入に大きくかかわる問題であると考えられます。
2024年問題の影響はドライバーの収入面に大きく関わる
『2024年問題について、どの程度知っていますか?』という問いに対し、「知っている」と回答したドライバーに対して「時間外労働の上限規制によって心配していること」について質問したところ、75%が「給与の減少」と回答。やはり『2024年問題』はドライバーの収入面に大きな影響を与えていることが、この結果からも見られました。
また、自身が働いている会社で「2024年問題に対する取り組みが行われているか」という質問に対しては、63.5%が「はい」と回答し、36.5%が「いいえ」と回答。実際に半数以上の企業が2024年問題に対しての取り組み行っているということがわかりました。
ドライバーが求める取り組みは実現されていない⁉
さらに、「いいえ」と答えたドライバーには続けて「どのような取り組みがあるといいか」(複数回答可)という質問を実施。「積み込み・荷降ろし作業の効率化」という回答が77.8%と一番多く、続いて「荷待ち時間の削減を荷主に交渉」「運賃値上げを荷主に交渉」という回答がそれぞれ72.2%となりました。
「はい」と回答したドライバーに対しては、自身が働いている会社の「取り組みに満足しているか」という質問を実施。39.4%が「どちらでもない」、39.4%が「やや不満」「不満」と回答する中、「満足」「やや満足」と回答したドライバーは合わせて21.2%と低い結果となりました。
続いて、自身が働いている会社での「具体的な2024年問題への取り組み」について質問したところ、71.4%「ドライバーの確保」という回答が一番多く見られました。
前述の「どのような取り組みがあるといいか」という質問の回答で多く挙げられた「積み込み・荷降ろし作業の効率化」「荷待ち時間の削減を荷主に交渉」「運賃値上げを荷主に交渉」に取り組んでいるという回答は28.6%と少なく、今回の調査ではドライバーと企業の間で、2024年問題への取り組みに対する認識へのギャップが大きく見られる結果となりました。
課題は『現状とのギャップ』。ドライバーが求める対策とは?
また、今回の調査では「2024年問題に対する不満や、業界や企業、国への要望」という質問も実施。運送業界で働くドライバーのリアルな意見が得られました。
・運送会社や荷主の古臭い制度が改善されていない。
・2024年問題は政府が口で言っているだけ。物流を変えるには、もっと根本的な改革が必要。
・長距離ドライバーのために、高速道路のパーキングシステムを考えて整備してほしい。
・所得が上がらないことには、人手不足は解消されない。
・業界全体で給料が上がれば、ドライバー不足は解決できると思う。
・残業時間の短縮はうれしいけど、その分給料が減っている。運送業の賃金を国で上げてほしい!
・残業時間が減ったとしても、残業代で稼いできた現実は変わらない。業界の給料が増えないと、ドライバー確保のために、2024年問題に違反せざる負えない会社も出てくると思う。
・圧倒的な元請け主義から卒業して、下請けの会社で働くドライバーのためにも運賃を上げてほしい。
・長時間労働ありきで働いてきたから給料が下がってしまう分、国が保証してほしい。
実際に働いているドライバーと、ドライバーを雇う運送会社や2024年問題として労働時間に上限を設けた国との間では「現状」に対する認識の差が大きくあり、決して2024年問題による法改正が、ドライバーにとって良い状況を生んでいるわけではないことが、この回答結果からわかりました。
最近よく耳にする機会が増えてきた『2024年問題』。国の法改正に合わせて様々な企業で様々な取り組みが行われている中、ドライバーの意見に耳を傾けて「2024年問題の実態」を知ることで、運送業界が向かうべき本当の未来が見えてくるのかもしれません。