運送会社の採用担当者として求人を作成したものの、応募数が増えないことにお悩みを持たれている方も多いのではないでしょうか。
たとえ良い条件で求人を出しても、情報の届け方1つで求職者の反応が大きく変わることがあります。そこで本記事では採用担当者の方に向け、ドライバーの応募を増やす求人方法と書き方のポイントを解説します。
より多くのドライバーに働き先として選んでもらえるよう求人を改善していきましょう。
ドライバーの求人に応募が集まりにくい理由
求人に応募が集まらない大きな原因は、求人内容やターゲット層へのアプローチに問題があることが考えられます。まずは詳しい理由を見ていきましょう。
待遇面や条件がよくない
まず人材が集まりにくい理由として考えられるのは、待遇や条件の問題です。労力に対し、待遇や条件が見合っていないと人材は集まりません。加えてドライバー職は長時間労働になりやすく体力も必要な仕事です。危険も伴うこともあるため、特に求職者の判断はシビアになりやすいでしょう
また、前提としてドライバー職の全体の平均賃金が低いという問題もあります。
ドライバー職の平均賃金が安いのはさまざまな理由がありますが、1つとして、業界全体の問題が関係していることが考えられます。例えばEC業者などの発注元の経費削減の影響です。EC業者は消費者からの「早く安く」というニーズに答えるため、送料無料や素早く配送するための拠点配置を行っています。
発注側でかかる経費が拡大し、配送業者側に回せる費用が減少。そして所属するドライバーの賃金が安くなってしまう悪循環ができています。
求人に掲載する情報が少ない
もし求人に職種、給与、休日などの基本情報だけを掲載している場合は、求人に関する情報が少ないかもしれません。例えば具体的にどのような業務をするかわからないと、求職者は自分に向いている業務か判断しにくいです。
また、ドライバーの求人は長時間労働による実態、休日出勤がある場合はどれほどの割合か、などにも関心が寄せられる傾向にあります。詳しい実態に関する情報が記載されていないと、求職者は不安を感じてしまうことがあるかもしれません。
長時間労働や休日出勤については、特に具体的な頻度や時間なども書くことが重要です。
採用したいターゲットに求人情報が届いていない
求人が採用したいターゲットに届いていない可能性もあります。例えば求人を募集する地域が限られる場合、特定の地域のターゲット層に求人を届ける必要があります。
例えば、全国規模の求人媒体へ掲載している場合、採用したい求職者が住んでいるエリアと募集する範囲にギャップが生まれてしまいます。求人では、より採用したいターゲット層に情報を届けるために、求人方法や掲載する媒体を選ばないといけません。
ドライバーからの応募を増やす方法
ドライバー人材からの応募を増やすには、以下の5つの方法があります。それぞれの方法から求人内容を改善し、ドライバーとして働きたいと考えている人材にアピールしていきましょう。
採用基準を見直す
ドライバーの採用基準を見直し、人材をより広い範囲で募集してみましょう。ドライバーが不足している場合、即戦力となる人材を募集するケースが多くありますが、そもそも業界全体として人材不足なため、競合他社と取り合いになります。
そこでブランクがある人材や高齢ドライバー、未経験者などに採用基準を広めるのも一つの手です。
現場で活躍してもらうためのフォローが必要になりますが、より多くの人材を集めることができます。ただし教育が必要な人材を採用する場合、採用担当者だけではなく会社全体で受け入れる取り組みが必要です。事前に時間をかけて関係各所と計画を進め、スムーズな受け入れ態勢を整えていきましょう。
給与や待遇面を細かく公開する
次に給与や待遇面を細かく公開しましょう。具体的な給与の内訳や休みの形態などが明記されていれば、実際に働くイメージを想像しやすくなります。特にドライバーは歩合給などもあるため、人によって月の給与に違いがあります。
例えば給与は「月収○○円~」だけでは、具体性があると言えません。月収、歩合給、手当まで自社の実例に基づいて提示が必要です。また、手当もどのような時に出て、どれくらいもらえるのか記載されていると好感を持たれやすい求人になるでしょう。
自社の強みをアピールする
数ある会社から自社を選んでもらうためには、自社の強みもアピールしましょう。求職者は他社の求人と比較して検討する場合がほとんどです。特に興味を引く強みがないと、最終的に働き口として選んでもらう決め手に欠けてしまいます。
例えば独自性としてアピールするのは、次のような点がおすすめです。
- 職場環境の良さ(定着率や雰囲気が良い)
- 福利厚生がしっかりしている
- 新人教育に力を入れている
- 入社後のキャリアパスが準備されている
- 女性が働きやすい環境(女性用トイレ・更衣室完備など)
労働環境の実態を公開する
自社の労働環境について実態を公開するのも効果的です。ドライバー職は過酷な労働になりやすいため、求職者は労働環境について不安を抱えています。しかし詳しい労働環境を知ることができれば、実態を想像できるため安心して働き口として選びやすくなります。
また、労働情報が詳細なほど、求職者は実態を理解した上で応募が可能です。就職してから職場とのミスマッチを起こしてしまう可能性も減らせます。
なお、労働環境の情報として、特に以下の4つを盛り込むと効果的です。
- 正確な休日数(週休○○制、祝日数など)
- 社内の有給消化率
- 休日出勤の有無(ある場合は割合まで)
- 長時間労働の割合
クチコミを活かす
ネット社会である現代では、多くの求職者が会社の評判や噂について下調べをします。そこで集まっているクチコミから何かアピールできる部分がないか探してみましょう。
例えば、過去に待遇がいまいちで指摘を受けていたとしても、既にドライバーの待遇改善を行っているのならアピールポイントになります。改善をしているのに求職者に知られないままでは、事実に基づかないことで求人が選ばれにくくなってしまうので、改善をアピールすることは重要だと言えます。
また、逆に勤めていた人の良いクチコミがあった場合も活かせる部分があるかもしれません。「土日は固定で休むことができるのが良かった」などのクチコミからは、休日の設定方法が好ましく思われやすいことが伺えます。
求人を書く際には、これらのクチコミを参考に好ましく思われる情報を目立つように書いてみるのも手です。
【例文つき】求職者の印象に残る求人の書き方
求職者の目に留まりやすい求人はどのようなものでしょうか。同じ情報でも書き方次第で求人を印象づけ、好感を持ってもらうことも可能です。
ここからは求職者の印象に残りやすい求人の書き方を例文つきで紹介します。ぜひ実際に求人を作る際の参考にしてください。
職種名で内容をイメージさせる
求人に載せる職種名は「ドライバー」だけではなく、仕事をイメージできる情報を記載しましょう。仕事内容がわかることで求職者は実際の仕事をイメージしやすいため、安心して応募しやすくなります。
なお、名前を決める際には「運ぶ物」と「方法」を盛り込むのがコツです。また、扱う車両や必要になる免許も記載しましょう。記載することで求職者は自身のスキルと素早く照らし合わせることができます。加えて、もし就職後に資格取得支援がある場合は、合わせて記載してください。支援内容を書いておけば、未経験人材へのアピールに効果的です。
良くない職種名の例 | 良い職種名の例 |
● ドライバー | ● コンビニ配送ドライバー(中型免許以上)
● 未経験◎中型免許取得の支援あり |
給与例と休日を明確にまとめる
給与例と休日はおおよその平均値ではなく、月収・年収例をキャリア別にまとめるのがおすすめです。また、休日も取得できる休日の種類、日数まで明確にまとめましょう。求職者にとって給与と休日は優先順位が高い情報なため、具体的な数値のほうが好感を持ちやすくなります。
良くない例 | 良い例 | |
給与 | 月収22万円~
年収例:270万円(1年目) |
月給22万円~+歩合給+各種手当
・歩合給:月平均5万円 ・手当:住宅手当(月〇万円)
【月収例】 ①26万円 (月給22万円+歩合給+〇〇手当) ②33万円 (月給26万円+歩合給+〇〇手当)
【年収例】 410万円(入社3年目) 490万円(入社5年目) 600万円(入社10年目) |
休日 | 休日:週休2日制
・GW ・夏季休暇 ・年末年始休暇 ・介護休暇 ・育児休暇/産前産後休暇 ・有給休暇 |
土日休み週休2日制
(※月○回の休日出社あり) ・GW(暦通り) ・夏季休暇(〇日) ・年末年始休暇(〇日) ・介護休暇 ・育児休暇/産前産後休暇(実績あり) ・有給休暇 |
勤務内容を詳しく記載する
勤務内容を書く際は、仕事内容について詳しく記載しましょう。ドライバーの仕事は端的に言えば荷物の配送ですが、実際の勤務ではさまざまな工程があります。何の仕事をするのかわからなければ、求職者も不安を覚えてしまいます。
そのため、運ぶ物、運転するエリア、配達件数や積み下ろしの有無など、勤務内容に関することは可能な限り詳細に記載しましょう。
良くない勤務内容例 | 良い勤務内容例 |
【勤務概要】
荷物の配送をお願いします。
【勤務エリア】 東京を中心としたエリアです。
【荷物の種類】 食品その他 |
【勤務概要】
小型トラックで食品を指定倉庫から東京エリア内のお客様へ配送する仕事です。
【勤務エリア】 指定倉庫から半径○○kmを担当し、配送します。走行距離は○○km程度です。
【荷物の種類】 食品と日用品が主体で注文ごとにまとめられています。1ケース〇kg程度で1回の配送で〇件ほど担当します。
【積み込み・積み下ろし】 積み込みは倉庫担当者が行いますが、積み下ろし・お客様への配送はドライバーが行います。台車も用意しているため、配送はスムーズに進められます。 |
研修や資格取得補助があれば明記する
ドライバー未経験者に向け、研修や資格取得補助があれば明記しましょう。未経験者はきちんとスキルを取得できるのか、実際の勤務までのフローに無理がないのかを心配します。そのため、研修や資格の取得フローを具体的に記載すると安心してもらいやすいです。
また、もし未経験者向けだけではなく資格取得補助があるのであれば、そちらも記載すると良いでしょう。勤務しながら他の業務の選択肢を増やすことができるなら、将来的なキャリアの目標を作ることができます。
なお、研修や資格についての説明は次のような書き方がおすすめです。
良くない例 | 良い例 |
【入社後のフロー】
入社後は講習を受講したあと、研修を行い、○ヵ月後にドライバーとして1人で現場を担当します。
資格取得補助もあるので安心です。
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【入社後のフロー】
入社後まず安全講習を行い、並行して○○の免許取得も進めます。(支援あり)
その後〇カ月間、先輩ドライバーと同乗しルートや積み下ろしなどの業務を覚えていきます。研修〇ヵ月後には1人で業務を担当していく流れとなります。
また、ドライブシミュレーション完備で、実際の駐車や雨天時の走行を練習することも可能です。
【資格取得補助あり】
・フォークリフト免許 ・フォークリフト技能資格(全額補助) ・大型自動車免許(半額補助)
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ドライバー求人で人気のキーワードを入れる
ドライバー求人では求職者の検索人気キーワードがあります。もしキーワードが自社の募集と一致するなら、積極的に取り入れるのがおすすめです。
人気キーワードを盛り込めれば、より多くの求職者の目に留めてもらうことができるでしょう。なお、ドライバー求人で人気のキーワードは以下のようなものがあります。
- 単発
- 日払い
- 玉掛け
- ルート配送
- 手積み・手おろし など
ドライバーの採用に使える求人媒体の特徴
ドライバーの求人は媒体によって集めやすい人材が異なるため、採用したい人材に合わせて媒体を選ぶことが重要です。
ここからは各求人媒体の特徴と集まる人材の傾向についてを解説します。
運送業・ドライバー専門の求人サービス
運送業・ドライバー専門の求人サービスは、ドライバー経験がある求職者の利用が多い傾向があります。すでに自分ができること・やりたいことが固まっている経験者には、特定の業種に絞った媒体のほうが手っ取り早く、比較検討も行いやすいためです。
一方、未経験人材も全く集まらないわけではありません。未経験でも「ドライバーをやりたい」と決めている求職者が媒体を利用するケースもあります。つまり未経験でも特にドライバー職に意欲的な人材に出会える可能性があります。
注意点として、運送業・ドライバー専門の求人サービスは、ドライバー求人のみ集まるため、他社との競争率も高いです。求人が似たり寄ったりにもなりやすいため、強みがないと選ばれにくくなる恐れがあります。
メリット | デメリット |
● ドライバー人材だけに求人できる
● 経験者を募集しやすい ● 未経験でもドライバーなりたい人が集まる |
● 他社との競争が激しい
● 他の求人と差別化が必須になる |
『ドラピタ』は、運送業専門の求人・転職情報サービスです。運送業に特化した求人サイトで、スムーズな人材採用が叶います。
面倒な求人原稿も、『ドラピタ』で代行して作成可能です。採用したいターゲット・職種・拠点など要望をヒアリングし、理想的な求人原稿を作成します。掲載後に職種や募集要項に変更も可能なため、状況に合わせた柔軟な対応も可能です。
運送業・ドライバー専門の求人サービスの活用を考えている方は、ぜひご検討ください。
「ドラピタ」のメリットやプラン・価格に関して詳しく知りたい方はこちらをご確認ください
総合型の求人サービス
総合型の求人サービスは、業種に関わらずさまざまな求職者を採用できる媒体です。そのため、未経験や異業種の人材を含め、幅広く募集したい場合に向いています。
ただし幅広い求人を扱うために、自社の求人が埋もれてしまう可能性もあります。さまざまな求人の中から見つけてもらえるように募集要項を的確にまとめたり、自社の強みをしっかりアピールすることが必要です。
メリット | デメリット |
● 幅広い人材に見てもらえる
● 未経験者・異業種の人も出会いやすい |
● 求人が埋もれやすい |
人材紹介・人材派遣サービス
人材紹介・人材派遣サービスは、採用したい人材を指定して人材を紹介・派遣してもらえるため、難易度が高い職種の人材を探すのに向いています。特定のスキルを有する人材を指定して探してもらえるため、即戦力人材を採用したい場合にも使いやすいです。
ただし人材紹介・人材派遣を利用する場合は手数料がかかるため、一般的な求人方法と比べると、採用にかかるコストは高くなります。
メリット | デメリット |
● スキルを持つ人材を採用できる
● 即戦力になる人材が集まる |
● 採用にかかるコストが高い |
ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)は、行政機関が運営している人材紹介所です。全国の各地域に拠点を置いており、各拠点エリアの地元の人材に強いという特徴があります。ただ全国の拠点との連携も行っているため、他エリアに住むターゲット層にも求人情報を届けることも可能です。
また、行政機関なため、会社側は無料で求人掲載が可能なのも大きな特徴です。掲載期間の更新もできるため、コストをかけずに長期的な募集ができます。
ただしハローワークは求人サイトなどと異なり、応募を促す機能や求人広告を出してくれるサービスなどがありません。ネット媒体の求人方法と異なり、情報を届けられるのはハローワークに訪れる人材だけに絞られてしまいます。
メリット | デメリット |
● 地元エリアの採用に強い
● 無料で求人ができる ● 長期的な掲載が可能 |
● 求人を見てもらえる人が限られる |
新聞・折り込みチラシ・フリーペーパー
新聞・折り込みチラシ・フリーペーパーに載せる求人公告は、特定のエリアの人材に強いのが特徴です。
例えば地元や特定の拠点周辺だけで人材を探したい場合では、特に使いやすい公告媒体と言えます。また、紙媒体に掲載することでネットを使わないミドル~シニアに求人情報が届きやすいです。
ただし掲載できる情報は求人サイトなどより絞られるため、良い点もアピールしきれない可能性もあります。簡潔な情報で効果的な求人を考える必要があるでしょう。
メリット | デメリット |
● 特定のエリアの採用に強い
● 幅広い年齢層にアピールできる |
● 載せられる情報量が少ない
● 新卒若手は採用しにくい |
魅力的な求人に改善してドライバー採用を増やそう
ドライバーは業界全体で人材不足なため、求人では自社をあえて選んでもらえるようにアピールすることが重要です。特に福利厚生が良いなど、求職者が「働きたい」と思えるような強みがあれば求人に取り入れましょう。
また、求人に記載する各項目を詳細に伝えることも重要です。具体的な業務内容や勤務形態がわかれば、求職者が自分に合っている求人か判断しやすくなり、興味を持ってもらいやすくなります。
本記事では実例つきで求人の書き方も紹介してきました。紹介したポイントを参考にぜひ求人内容を作成・改善をしてみてください。