若手ドライバー向けに募集を打ち出したものの、なかなか応募数が増えないため悩んでいませんか?応募が増えないのは、もしかしたら若手人材にとって「働きたい」と感じる求人を作成できていない可能性があります。
そこで本記事では運送業の採用担当者に向け、若手ドライバーを集める求人のコツを紹介します。若手のニーズ分析からアピールすべき点までわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
また、後半では実際に人材を採用する際のポイントも紹介しています。採用の際の判断基準の1つとしてご覧ください。
業界で若手ドライバーが増えにくい理由
業界で若手ドライバーが増えにくい理由は、次のようなイメージを持たれていることが関係しています。
- 運転業務には「危険」がある
- 長時間労働で「きつい」
- 荷物を扱うので「汚い」
ドライバー業は、『3K労働(危険・きつい・汚い)』というイメージが強い業界です。
「働いたらきつい」「ブラックな仕事かもしれない」というネガティブなイメージが広まり、働き口として選ばれにくくなってしまっている状態です。運転に危険が伴う点、長時間労働がある点については、実際に起きてしまっている難しい問題でもあります。
また、過酷な代わりに給与の高さが魅力として見られていた時期もありましたが、現在は飛び抜けて高いわけでなないため、給与を理由に入ってくる人も減ってきています。
総務省の調査によれば、現時点で旅客・貨物運送業に勤める248万人のうち、20〜29歳の就業者数は23万人です。つまり30歳未満の若手人材は10%にも満たないということになります。
しかし、現状のままでは高齢になってリタイヤしていくドライバーのほうが多く、人手不足は避けられません。若手ドライバーを増やすために、具体的な対策を講じる必要があります。
※参考:総務省「労働力調査【II-2-2年齢階級,産業別雇用者数】【II-5産業,職業別就業者数】(2024年2月)」
ドライバー未経験者と経験者が求めるニーズの違い
では具体的にどのような対策を講じる必要があるのでしょうか。
若手でドライバー経験がある人材は限られているため、未経験の人材採用に力を入れる企業が増えています。
しかし未経験者と経験者では求人に求めるニーズが変わるため、それぞれのニーズを意識した求人票を作成する必要があります。そこでまずはそれぞれが求めるニーズの違いについて見ていきましょう。
ドライバー未経験者の場合
ドライバー未経験者の場合は、次のようなニーズを求める傾向にあります。
- 充実した研修やサポート体制がある
- 給与は妥当で休暇がきちんと取れる
- キャリアビジョンが見通せる(資格取得や昇給など)
未経験者は目標を決めて指導を受け、しっかりと堅実に実務をこなしていきたい人が多いです。ただし仕事だけの生活ではなく、プライベートも大切にしたいと考えています。家族や友人との生活を両立しながら、安定的に働ける求人を理想としています。
ドライバー経験者の場合
一方でドライバー経験者の場合は、求人に次のニーズがあります。
- 短時間で効率的に稼げる
- 歩合給の有るか・無いか(額の決まり方も知りたい)
- 扱う荷物と業務がわかる
- 運転するトラックがわかる(内装・外装など)
経験者はすでに業務に慣れているため、効率的に稼げるかどうかの判断がシビアになっています。また、経験を元に具体的にやりたい業務や働きたい環境が決まっている人も多く、業務や環境については詳しく把握しておきたいと考えています。
若手の求職者に応募してもらうコツ
若手のニーズを踏まえ、求職者に求人に応募してもらうには以下のコツを抑えましょう。
- 企業の実績で安定性をアピールする
- 給与・休日を明確に提示する
- 研修や業務について具体的に提示する
- 若手に好まれる働き方があればアピール
以下で各ポイントを実例を交えて詳しく解説していきます。
企業の実績で安定性をアピールする
求職者の多くは企業に安定性を求める場合が多いです。そのため、業界での実績や社内の取り組みをアピールしていきましょう。業界の実績がわかれば安心材料が増えます。
また、社内の取り組みでは、例えば定期的な休日設定や長時間労働への対策などは好感を持たれます。まずは自社でアピールできそうな実績・取り組みを書き出してみましょう。
給与・休日を明確に提示する
給与と休日は、経験を問わず人材が優先的に検討する部分なため、明確に提示して求職者の目に留まりやすくしましょう。
例えば給与は「月○○万円~」といった端的な情報ではなく、手当や歩合給まで詳しく書くのがポイントです。わかりやすく年収例なども挙げれば、求職者も検討しやすくなります。
また、休日も実際に休みが取れる曜日や日数まで書きましょう。確実にいつ休日があるのかわかるのは求職者にとって安心できるポイントです。
給与と休日の提示方法は、一例として次のような形があります。
例 | 記載のポイント | |
給与 | 月給22万円~+歩合給+各種手当
・歩合給:月平均5万円 ・手当:住宅手当(月〇万円)
月収例 ①26万円 (月給22万円+歩合給+〇〇手当) ②33万円 (月給26万円+歩合給+〇〇手当)
年収例 410万円(入社3年目) 490万円(入社5年目) 600万円(入社10年目)
|
● 給与を左右する要素まで明記する
● 給与の実例を提示する |
休日 | 土日休み週休2日制
(※月○回の休日出社あり) ・GW(暦通り) ・夏季休暇(〇日) ・年末年始休暇(〇日) ・介護休暇 ・育児休暇/産前産後休暇(実績あり) ・有給休暇 |
● 曜日や日数まで詳細に明記する
● 休日出勤なども記載する |
研修・業務・キャリアについて具体的に提示する
企業として信頼してもらい安定して働けるイメージを持ってもらうために、研修・業務・キャリアについても具体的に提示しましょう。
特にドライバー未経験者は、研修や指導をしっかり行ってもらえるか不安に思います。
そこで研修までのフローなどを詳細に書くことで、未経験者の不安を拭うことが可能です。
また、業務やキャリアステップを書き込めば、「どのように働くのか」「将来的な目標を持てるのか」という疑問にも答えることができます。
情報の記載方法としては次のような記載方法があります。記載例の一例として参考にしてください。
記載例 | |
研修 | 【入社後の研修フロー】
入社後まず安全講習を行い、並行して○○の免許取得も進めます。(支援あり)
その後〇カ月間、先輩ドライバーと同乗しルートや積み下ろしなどの業務を覚えていきます。研修〇ヵ月後には1人で業務を担当します。
また、ドライブシミュレーション完備で、実際の駐車や雨天時の練習が可能です。 |
業務 | 【勤務概要】
小型トラックで食品を指定倉庫から東京エリア内のお客様へ配送する仕事です。
【勤務エリア】 指定倉庫から半径○○kmを担当し、配送します。走行距離は○○km程度です。
【荷物の種類】 食品と日用品が主体で注文ごとにまとめられています。1ケース〇kg程度で1回の配送で〇件ほど担当します。
【積み込み・積み下ろし】 積み込みは倉庫担当者が行いますが、積み下ろし・お客様への配送はドライバーが行います。専用の台車を使用するため、スムーズに進められます。 |
キャリア | 【資格取得補助あり】
・フォークリフト免許 ・フォークリフト技能資格(全額補助) ・大型自動車免許(半額補助)など
※資格を取得した場合の業務・給与の推移なども例を記載するのが良い |
若手に好まれる働き方があればアピール
若者はプライベートを大切にしたいというニーズも高いため、働き方がフレキシブルだと求人としてより好まれやすいです。そのため、もし自社で好まれそうな働き方があるのであれば、積極的にアピールしていきましょう。
なお、若手人材に好まれるのは次のような働き方です。
- 業務開始時間に幅がある/指定がない
- 勤務距離が短い/場所が絞られる
- フレックスタイム制
若手ドライバーを採用するときのポイント【履歴書・面接】
若手ドライバーの応募数が少ないと「どのような人でもいいから採用したい」と考えてしまうかもしれません。しかし、人材として定着してもらうためには、会社とのミスマッチを避ける必要があります。
そこでここからは若手ドライバーを採用する際に気をつけるべきポイントを解説します。
「面接マニュアル」について詳しく知りたい方はこちらをぜひ確認ください。
採用像を明確にする
まずは人材を評価するために、理想の採用像を明確にしておきましょう。どのような人材を集めたいのか曖昧だと、入社してからミスマッチを起こしかねません。
例えば未経験でもドライバー職への熱意がある人、またはコミュニケーション能力がある人など、さまざまなニーズが考えられます。他にも業務によって求める経験や資格も異なってくるでしょう。
面接の日程連絡を迅速に行う
面接の日程連絡などは迅速に行い、求職者に丁寧な対応を心掛けましょう。求職者の多くは最初の企業の対応で、信頼できる会社か判断する部分も大きいです。
連絡が遅かったり、面接日程を一方的に決めてしまうと「会社本位で人材を大切にしない」といった印象を持たれてしまうリスクがあります。スムーズな日程連絡を心掛ければ、人材を大切にしている姿勢を求職者に示すことができるでしょう。
また、求職者は他の企業との面接も控えていることも多いため、対応が早いほうが先に検討してもらいやすいです。若手の就職・転職活動は特に早さを重視する傾向もあるため、早いテンポで対応していくと良いでしょう
対応力・コミュニケーション能力を見る
ドライバーの採用では、人材の対応力・コミュニケーション能力も見ておきましょう。
基本的にドライバーは1人で業務を行うため、緊急時の判断は現場の本人に委ねられます。例えばルートの先で災害や事故があった場合、臨機応変に対応しなければいけないことも考えられます。イレギュラーなことが起きても、落ち着いて対応ができる人材が理想的です。
また、人材のコミュニケーション能力は、普段の連携のしやすさに関わります。もしドライバーに体調不良や業務の遅れなどがあったとき、すぐ相談してくれる姿勢があれば、深刻な状況になる前に会社として対応できます。
業務に関する不安には包み隠さず回答する
求職者から業務に関する不安を質問された場合、包み隠さず回答することも大切です。もしここでネガティブな部分を隠してしまうと、信頼を損なうことになります。一時は採用できても、結局は後に人材がミスマッチを感じて辞めてしまうことになるでしょう。
会社にとってネガティブになる部分も正直に伝えることが信頼関係につながり、その上で入社した人材は離職しづらい傾向にあります。求職者の不安に向き合い、丁寧に説明していきましょう。
若手ドライバーに選ばれる求人を作成しよう
若手ドライバーの採用を増やすには、未経験者・経験者のニーズを考慮しつつポイントを抑えることがコツです。
例えば企業の実績や取り組みをアピールすることは、求職者の会社に対する不安を拭うことに役立ちます。社内で行っている取り組みによって、どのようなスタンスの会社なのかも伝わりやすくなるので重要です。
また、給与・休日・業務については経験問わず、詳細な情報を求められています。端的な情報でまとめずに、自社の実例も交えて詳しい項目や内容を書くようにしましょう。また、未経験向けについては、研修などのサポート体制も詳細に書いておくと安心してもらえます。
なお、もし若手に好まれるフレキシブルな働き方ができる場合は、合わせてアピールしましょう。柔軟な勤務形態で求人を探している若手に注目してもらえるかもしれません。
ポイントを抑え、若手に興味を持ってもらえる求人作りで応募数アップを目指しましょう。
「若者が集まる求人情報の作り方」について詳しく知りたい方はこちらをぜひご確認ください。