日本は2005年から総人口が減少に転じ、このまま人口減少が進むと2065年には労働力人口が2020年比で2,600万人も減少するとも言われています。
そんな人手不足化する日本社会の中でも、特に深刻とされているのが運送業界です。
このような状況の中で、ドライバーの人手不足に危機感を抱いている運送業の経営者や人事を務める方が数多くいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、そんな運送業界が抱えているドライバーの人手不足と具体的な対策について解説していきます。業界全体における対策から、個別の企業でも、今すぐできる取り組みについても紹介しているので、ぜひご覧ください。
ドライバーは不足している|運送業界の人手の現状について
下記の図を見ると分かるように、ネットショッピングによりECの需要が増えています。
出典:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました|経済産業省
そのため、商品を運ぶドライバーの需要は増えていますが、供給が足りていません。
その証拠として、ドライバーの数は平成7年を境に年々減少しています。
出典:「ホワイト物流」推進運動について|「ホワイト物流」推進運動
ドライバー不足の原因とは?
なぜドライバー不足が深刻化しているのでしょうか。主な理由は下記の4つと考えられます。
- 労働条件(給料・労働時間)が悪い
- 運転免許制度の改正が弊害となっている
- 女性進出が圧倒的に遅れている
- 若者の車離れが進んでいる
下記で詳しく解説していきます。
労働条件(給料・労働時間)が悪い
一つはドライバーの労働条件が悪いことです。
下記は年間の所得額(左)と労働時間(右)について、ドライバーと全産業平均で比較した図になります。
出典:トラック運送業界の2024年問題について|全日本トラック協会
労働時間について全産業平均と比較すると、大型トラックドライバーの月労働時間は36時間、中小型トラック運転者で月32時間長くなっています。一方、所得額は大型トラック運転者で約5%低く、中小型トラック運転者で約12%低いことが分かります。
つまり、労働時間が長いにもかかわらず給料が低いのです。
運転免許制度の改正が弊害となっている
平成29年の運転免許制度改正も一つの要因と言えます。
下記の表は運転免許制度の改正前と改正後を比較したものです。
【改正前の免許制度】
普通免許 | 中型免許
(8t限定) |
中型免許 | 大型免許 | |
最大積載量 | 3t未満 | 5t未満 | 6.5t未満 | 6.5t以上 |
車両総重量 | 5t未満 | 8t未満 | 11t未満 | 11t以上 |
【改正後の免許制度】
普通免許 | 準中型
(5t限定) ※改正前 |
準中型
※新設 |
中型免許
(8t限定) |
中型免許 | 大型免許 | |
最大積載量 | 2t未満 | 3t未満 | 4.5t未満 | 5t未満 | 6.5t未満 | 6.5t以上 |
車両総重量 | 3.5t未満 | 5t未満 | 7.5t未満 | 8t未満 | 11t未満 | 11t以上 |
改正前であれば、普通免許で最大積載量3t未満のトラック(小型トラック)を運転することができましたが、改正後は最大積載量が2t未満に制限されるようになりました。
大きなトラックを運転できるほど、仕事の幅も広がり、待遇面も良くなる傾向にあります。
つまり、運転免許制度の改正前よりドライバーになるハードルが上がったということです。
女性進出が圧倒的に遅れている
運送業界、とくにトラック業界は女性進出が圧倒的に遅れている業界です。
下の図は全産業とドライバー、それぞれにおける女性の割合を示しています。
全産業の女性の割合43.2%に対して、トラック業界の女性の割合は2.5%と極めて低い状況であることが分かります。
つまり、女性の進出が圧倒的に遅れている業界であり、それがドライバー不足の一つの原因といえます。
若者の車離れが進んでいる
若者の車離れもドライバー不足の一つの原因といえるでしょう。
総務省による自動車普及率の調査によると、下記の図のように自動車の普及率は年々低下傾向にあることが分かります。
【自動車普及率の推移】
出典:若者の“クルマ離れ”ってホント? 80年代生まれの“クルマ選び”の実態とは?|EL BORDE
さらに、運転免許の保有率を年齢階級別に分類した下記の図を見ると、男女共に若年層の保有割合は低下傾向にあることがわかります。
出典:減少局面に入った運転免許保有者数 ~若者の「免許離れ」に変化の兆候も~|参議院事務局 企画調整室(調査情報担当室)
若年層の車離れが進んでおり、それがドライバー不足の一因と考えられます。
今後の展望|さらなるドライバー不足が予測される
ここまでドライバー不足の現状と原因について解説してきました。
ただし今後もドライバー不足が解消される見込みは薄く、むしろ悪化する可能性もあります。
その理由について、下記で解説していきます。
高齢ドライバーの定年退職ラッシュ
トラックドライバーの平均年齢は、全職業平均と比べて3歳〜5歳程度高く、つまり運送業界は年齢層の高い労働者に頼っているのです。
そして、日本全体の労働人口は減少傾向にあることから、若者の採用もさらに難しくなってくるといえます。
そのため、現在運送業界を支えている高齢のドライバーが定年退職を迎えていくと、さらなるドライバー不足に陥る可能性があります。
「2024年問題」によって、ドライバーの労働時間が規制へ
そして「2024年問題」によりさらなるドライバー不足につながることが懸念されています。
その理由としては、ドライバーの収入の減少が見込まれるからです。
2024年からトラックドライバーの時間外労働時間が274時間以内に制限されます。
しかし、ドライバーの中には時間外労働によって、稼ぎを増やしている人もいます。つまり、労働時間が制限されることは、収入の減少に直結するのです。
そのため、ドライバーのなり手が減ることや、転職を考えるドライバーが増えることが予想されています。
ドライバー不足への有効な対策|自分たちの会社でもできることとは
さらなるドライバー不足が見込まれる中で、各企業としてはどんなことができるのか。
ここからはドライバー不足の対策について、3つのポイントに分けて解説していきます。
労働環境を整備する
一つは労働環境の整備です。
今後のドライバー不足解消のカギといえるのが、「女性ドライバー」と「高齢ドライバー」です。これらの労働者に対する、仕事の環境を整備することが重要と言えます。
下記では、女性・高齢者にとって働きやすい環境整備の施策について紹介します。
女性が働きやすい環境を整備する
運送業界は女性進出がかなり遅れている業界のため、企業の中には女性が働く環境が整っていないことがあるかもしれません。
基本となるのが、トイレや更衣室をはじめとした施設の改修や教育・研修制度の充実・強化です。さらに、ライフスタイルに合わせた働き方が選べるなどの福利厚生の充実に取り組む必要があります。
加えて、トラガール促進プロジェクトのホームページでは、女性が働きやすくなるために企業独自で行っている施策が紹介されています。
以下で、その事例を2つ紹介します。
【働く人の意見を取り入れる仕組み作り】
ドライバーは一人での配送作業が主な業務となるため、孤独を感じたり、言えない不満がたまって離職につながるケースもある。それを防ぐために、業務の中で気づいたちょっとしたことを「メモ」として上司に提出して意思疎通を図り、ドライバーのモチベーションアップや定着率アップを図る。
【社内の女性社員同士をつなげる】
女性の先輩ドライバーが新人をサポートする体制を作る。会社側で、違うセンターにいる女性同士が知り合う機会を作ってあげることで、女性従業員の定着率アップさせる。
参照:トラガール応援!企業向け情報|トラガール促進プロジェクト
【高齢者が働きやすい環境を整備する】
今後のドライバー不足の展望を考えると、高齢ドライバーの労働力も必要になります。しかし、同時にドライバーの事故防止対策を徹底し、高齢ドライバーが働きやすい環境を整備する必要があります。
具体的な対策例を以下に紹介します。
【対策例】
- 労働時間の短縮(短時間勤務に就かせる、勤務日を一日おきにする など)
- 健康管理の強化(健康診断の受診の徹底、従業員ごとに血圧の測定値を毎日記録・報告、若いドライバー以上に有給休暇の取得を促進する など)
- 負荷の軽減(連続した長距離運行を避ける、手積み・手卸の少ない業務に配置 など)
業務効率化を行う
長時間労働がドライバー不足の一因のため、労働時間削減に向けた取り組みが必要です。
そこで、労働時間短縮に向けた施策を2つ紹介します。
トラックの荷待ち時間短縮に向けた取り組みを行う
一つはトラックの荷待ち時間の短縮です。
そして、そのための具体的な施策として「バース予約管理システム」の利用が挙げられます。
従来は、トラックドライバーや運送会社がバースを利用する際、事前に電話やFAXで予約し、当日は書類を提出して受付する必要があります。その受付の時間が原因で、後続のトラックが玉突き状態で待機する時間が発生し、ドライバーの長時間労働につながることがあります。
しかし、バース予約管理システムを利用すれば、トラックドライバーや運送会社が事前にバースでの入荷時間を予約することで、バースでの混雑を緩和・解消できます。それがドライバーの労働時間の削減にもつながるはずです。
配送ルートの計画方法を見直す
もう一つは、配送ルートの計画方法を見直すことです。具体的には、高精度な配送ルートを作成できるツールを使います。
このような配送ルート作成ツールを使うメリットの一つは配達時間の短縮です。なかには一日で30分短縮できたケースもあり、ドライバーの負担軽減につながるはずです。さらに、配送ルートを作る作業の時間も短縮できます。
また、新人の研修期間を2週間から3日に短縮できたケースもあるため、業務効率化に大きく貢献するはずです。
従来の採用活動から脱却する
人材が不足する運送業界では、従来の採用活動の方法では、人材獲得が難しくなると言えます。そのため、これまでの採用方法とは違った方法を実践していく必要があります。
下記では今後の採用活動で重要となるであろう、2つの施策を紹介していきます。
SNSやコーポレートサイトで発信する
一つはSNSやコーポレートサイトでの発信です。
メリットは、求人サイトでは伝えきれない働く現場の雰囲気や社風のイメージを届けやすいことです。また入社前の不安感が薄れ、かつ入社後のギャップが少なくなり定着率のアップにもつながるでしょう。
コーポレートサイトの制作には、ドラウェブがおすすめです。
ドラウェブは、運送・物流業界特化型のホームページ制作サービスで、物流のプロが制作します。セミオーダーメイドによる制作のため、公開まで最短2週間で納品可能です。
ホームページ制作は物流と採用のプロであるドラウェブにおまかせください。
ドライバー専門の求人媒体を利用する
もう一つはドライバー専門の求人媒体を使うことです。
メリットは、経験者を採用しやすい点と定着率が高い点です。
総合求人媒体の場合、検索軸が「職種軸」「業界軸」「勤務エリア」の3つとなっていることが主流ですが、ドライバー専門の求人媒体の場合、より細かく条件の指定ができます。
職種軸1つをとっても、「大型ドライバー」「小型ドライバー」など細かく指定でき、さらに「保有資格」「車の形状」などのこだわりも条件を指定可能です。
そのため、経験者の採用や従業員の定着につながります。
ドライバーの採用活動は特に「ドラピタ」がおすすめです
ドライバー専門の求人媒体には、ドラピタがおすすめです。
以下で、ドラピタの3つの特徴と、ご利用いただいたお客様の声についてご紹介します。
「ドラピタ」の3つの特徴
ドラピタの特徴は下記の3つです。
- 掲載しやすい価格帯(50,000円~/月)
- 運送業に特化したサイト設計
- 若手・即戦力の採用を実現
以下で詳しく解説します。
特徴①:掲載しやすい価格帯(50,000円~/月)
求人媒体大手のリクナビやマイナビでは、新卒では800,000円程度〜、中途でも200,000円程度〜の掲載費用がかかりますが、ドラピタでは50,000円~/月の掲載費用を実現しています。
50,000円~/月の価格帯を実現できる理由としては、広告費をwebに特化させているためです。
弊社独自にドライバーの求人検索の仕方を研究した結果、求人媒体の名前で検索していないことを発見しました。そこで、ユーザー集客のための広告費の9割をGoogleやYahoo!などの検索エンジンや、indeedやスタンバイなどの求人検索エンジンなどに集中させています。
そして、媒体の認知アップのためにテレビCMなどの高価なプロモーションへ投資しないため、50,000円~/月の掲載費用を実現しています。
特徴②:一番欲しい人材の採用に繋がる求人原稿制作
ドラピタでは運送業界を熟知したライターが在籍し、年間3,500本以上の運送業界の求人を作成しています。
貴社のターゲットに沿った丁寧なヒアリングにより、「一番欲しい人材」の採用につながる原稿を制作いたします。
特徴③:若手・即戦力の採用を実現
ドラピタは18歳~44歳の利用割合が69%で「働き盛り×経験者」の求職者が多い媒体です。
さらに、ドラピタユーザーの57%が大型免許を所持し、78%が中型免許を所持しているため、採用後「即」活躍する人材が採れます。
「ドラピタ」を利用したお客様の声
ドラピタを利用したお客様の声を紹介します。
【株式会社エスワイプロモーション様】
【ドラピタを選んだor選び続けている理由はなんですか?】
ドラピタに原稿を載せるだけでIndeed有料(スポンサー)枠へ掲載されるという仕組みは、とても魅力的でしたね。 【ドラピタに掲載して良かったことはありますか?】 何と言っても応募数の多さです。特に、以前は応募率が低かった静岡や京浜地区が、飛躍的に向上して驚きました。 原稿には仕事の流れや給与情報等の諸条件を他媒体より細かく記載できるので、ドライバーの知りたい情報がたくさん載せられているのではないかと思います。 |
【キャリテック株式会社様】
【ドラピタを選んだor選び続けている理由はなんですか?】
ドライバー専門求人ということで、同業種の方からの応募が多く、即戦力が採用できることも多くなりました。 【ドラピタに掲載して良かったことはありますか?】 担当者の方も専門的な知識を持っているので、振り返りなどの打ち合わせもとても充実しています。 採用率も高いので、派遣ドライバーが削減でき、コストの面でも非常に助かっています。 |
まとめ:今からでも遅くない|労働環境や採用活動の見直しがドライバー不足のカギとなる
本記事では、ドライバー不足の現状や今後の展望について解説してきました。
ドライバーの高齢化や2024年問題により、ドライバーの採用は今後も厳しい状況が続くことが予想されています。
そのため、ドライバー不足解消のための対策を、今からでも始めておくことが重要です。ドラピタで専門性の高い採用活動を始めてみてはいかがでしょうか。